DIGITAL COATING デジタルコーティング事業の発足

  • 日本唯一のインクを扱う
    総合塗料メーカー。
    塗料とインクの二刀流。

    塗料メーカーとして100年近い歴史を持つDNT。これまで防食塗料を中心に様々な塗料を開発し、世の中に供給してきました。40年ほど前からインクジェット用インク(以下、インク)の製造販売も開始し、現在では国内総合塗料メーカーとして塗料、インクを同時に扱う唯一の企業となっています。塗料とインクは性質が全く異なり、粘度が高く、ブラシやローラーなどで伸ばすことで塗り重ねていく塗料に対し、インクジェットヘッドという小さなノズルから吐出するインクは、粘度が非常に低く粒子自体も非常に小さいものでないといけません。
    またそれぞれの特徴としては、塗料が被塗物を保護し耐久性や保護機能に優れているのに対し、インクは複雑な意匠表現をすることに長けています。DNTは塗料事業とインク事業の両方を展開している強みを生かし、「塗料とインクのハイブリッド化」を提案しています。
    この技術により、意匠性と耐久性を両立させた現代の意匠表現が可能になりました。これは、様々なモノに高意匠という付加価値を付けられる技術として注目されています。

  • 塗料とインクを掛け合わせることで
    見えてきた潜在顧客の
    ニーズとブルーオーシャン。

    2004年、住宅外装用塗料の営業活動を行っていた中で、ある外壁材メーカー様より、塗装されている外壁に加飾を行いたいというご要望をいただきました。塗料を扱う事業部で受けた相談でしたが、お客様のニーズに応えるべく他部署の商品である外装材インクジェット仕様を提案して採用され、完成した外壁を見て「これは塗料とインクのどちらもが同時にないと完成しないものだ」と感じました。
    当時別々のターゲット顧客に向け事業を展開していた塗料とインクが同時にニーズとして存在することを経験したことで、自社にしか開拓できない市場を見つけたような感覚でした。その後、当時、建材塗料事業部の営業担当だった私がインクジェット事業部へと異動しました。そこから、私を架け橋に、インクジェット用インクを塗料とセットで販売することで他社にない差別化事業へと成長していきました。

  • デジタルコーティング事業部が
    世の中に新しい価値を生み出す。

    市場開拓を始めて6年半、需要も徐々に増加してきた中で本格的に販売強化を行っていくためにデジタルコーティング事業部を発足しました。発足後、いくつもの製品を扱ってきましたが、その中の一つに「外装PCMパネル」というものがあります。通常、外装PCMパネルに加飾を行う場合は、グラビア印刷の加飾フィルムを利用することが大半ですが、フィルム自体は何千メートルといった単位での購入しかできず、小ロット対応ではコストが合いません。つまり大量生産には適しているが、少量・多品種に対応することが難しいといった課題がありました。
    そんな声があった「外装PCMパネル」に目をつけ、インクジェット仕様の提案をしました。この仕様は、金属焼付用塗料の上に加飾用インクジェット印刷を施し、その上から建材用塗料のトップコート塗料を重ねるというもので、金属焼付塗料事業部、建材塗料事業部の協力を得る必要がありました。デジタルコーティング事業部主導のもと、他の2事業部の技術者と部署の垣根を越えて連携をとったことによって無事完成させることができ、各事業部内だけで完結させていた従来の塗料設計では完成できなかったであろう製品となりました。その他にもインクと塗料を扱った製品としては、キッチンや浴槽などの内装パネル、スポーツ用具、エクステリアブロック、外装建材やステンレスボトル、物置などがあり、様々な業界やシーンで活用しています。
    まだまだ小さな部署でこれからの事業ではありますが、塗料とインクを同時に扱う部署という社内でも新しい試みを通し、他部署の技術とコラボレーションすることによって、世の中に新しい価値を生み出すことができる。そう信じています。

  • 自由度が高い会社だからこそ
    会社に、社会に貢献する責任を。

    こういった取り組みや、やりたいことに全力で打ち込むことができることもDNTの良いところです。縦割りの組織ではなく、横のつながりが強く事業部の垣根を超えて研究開発ができたことによってこの事業部は発足しました。様々なところへ営業に行き、自分のアイデアで他部署と協力し、商品を提供する。社内であってもお客様であってもそのつながりの中で自由に働くことができる、非常に働きやすい環境だと思います。
    自由度が高いということは、好き勝手できるということではなく、多くの選択肢を持つことができること。今回の事業発足というプロジェクトもその選択肢の一つです。ここからしっかりと会社や世の中に貢献できる事業部になっていくことが、自由だからこその責任だと感じています。